2015年08月28日 18:16
Criteo広告について検索していると広告主や代理店向けの情報ばかりで、広告を貼りたいメディア/ブログサイト運営者向けの情報が皆無だったので、Criteo社に問い合わせて契約条件や運用方法などを聞いてみた。(Criteoでは広告を貼る側をパブリッシャーと呼んでいる。)
以下は、Criteo日本語サイトの公式情報と、問い合わせの返信メールに添付されてきたPDF資料と、電話でのやりとりから得た情報の覚え書き。
Criteoの日本語問い合わせ窓口はここ。
お問い合わせ | Criteo
この窓口は広告主や代理店などと共通なので、サイトに広告を貼りたい側は「ご職業」の項目で「パブリッシャー」を選択する。すると、広告を配信したいWebsite URLと共に月間ユニークユーザ(UU)数の項目が出てくるのだが、選択できるプルダウン項目が、
・Under 50,000
・50,000 - 300,000
・300,000 - 500,000
・500,000 - 1 million
・1 million - 3 million
・Over 3 million
となっており、月間ユニークユーザーが5万未満のサイトは相手にされない可能性がある。
問い合わせではなく、いきなりアカウント作成するフォームもあるのだが、こちらには本申込を行うウェブサイトは、1ヶ月あたり10万以上の広告インプレッションがあります。
というチェック項目があり、それに満たない場合は申し込めないという事になる。
さらにCriteoの資料には、「月間約100万PV以上の媒体社様との直接取引に注力しております」とあり、つまりまとめると、
・月間ユニークユーザー5万
・1ヶ月あたり10万以上の広告インプレッション
がCriteoを申し込める基準という事であり、
・月間約100万PV以上
であれば、Criteoの方から営業が来るかもしれないという事だと思われる。
パブリッシャー向け CRITEO サービス一般条件(PDF)
このurlで常に最新の利用条件に更新されているようだが、ザックリと言うとGoogle Adsenseと同等の基準である。Adsenseを貼れないジャンルのサイトにCriteoを貼るという運用はまず無理で、Adsenseなどと併用していく事になるようだ。
同じアカウントで複数サイトにCriteoを導入できるが、配信サイトを増やす度に審査を受ける必要あり。ただし、サブドメイン運用している場合は、親ドメインで一括審査を受ければ良い。
アカウントを新規作成するページがあり、そこで利用規約に同意する事ですぐに広告の掲載を始める事ができる。ただし、Criteo日本語サイトからはそのフォームへ直接リンクを貼っていないので、一度問い合わせた方が無難かと思われる。
他のDSPと違うのがここ。クリック課金ではなくCPMで収益額を決定する。ただ、クリックされればされるほどCPMが高くなるので、広告を貼る場所などの運用ノウハウはクリック課金型と変わらないのではないかと思われる。
1ヶ月間の収益が5,000円以上であれば翌月末に支払われる。Adsenseを併用しているならAdsenseの数日遅れで入金といったところだろうか。
営業担当が1人、システム担当が1人で計2人の担当が付いてくれると言っていたが、これはサイト規模にもよるのかな〜と思った。サイト規模というか収益額という事なのだろうが。。。
パブリッシャーにとってのCriteo | Criteo
広告を貼りたい側への情報はこの1ページのみなので、実際に問い合わせて運用方法を聞いてみた。
CriteoはブラウザのCookieを利用したリターゲティング広告だから、リクエストに対して100%広告を表示することができない。自分のサイトの訪問者が、Criteoの広告主(ECサイトやトラベルサイトなど)に全く関心の無い層ばかりだと、Criteo導入によって収益を上げるのが難しそう。
上記理由から、Criteoがリクエストに対して広告を返す事ができない際に表示する代替広告を設定しておく。既にAdsenseなどを運用しているのであれば、そういった広告コードをフィラー設定したCriteoの広告コードをサイトに設置しておく。フィラー設定できるのは他社DSPの広告コードだけでなく、アフィリエイトリンクや、ただのバナー画像でも可。フィラー設定してないCriteoコードを貼ると、空欄になってしまう可能性もあり。
広告ユニットごとに、CPMフロアープライスを設定する事で最低CPMを確保しながらより高い収益を得る事ができる。フィラー設定してある元々の広告のRPM(eCPM)より高い金額をフロアープライスに設定する事で、元の収益をあまり減らさずに、Criteoの収益を上乗せする事ができる。(元の収益は若干減るが、その金額以上にCriteoの収益が上乗せされるため、結果合計金額では収益増になる。)
例えば、元々のAdsenseの収益が10万円だったとして、Criteoを優先しAdsenseをフィラーに設定するとAdsenseが8〜9万円に下がるが、Criteoが3〜4万円の収益を上げれば、合算では収益増になるという事。
Criteoの資料には、現在の収益の約5〜20%の収益増
が見込めるとあるが、ただし掲載枠のCTRや実装方法によってはご希望に沿いかねるケースもございます
とも書いてあるので、少なめに見積もって5%増くらいが現実的な数値だと思っておいた方がいいかもしれない。
Criteo広告設置から1週間〜10日前後かけてCPMが最適化されていくが、一番最初に設定するフロアープライスはフィラー設定する前の元々の広告のRPM(eCPM)×1.2で始める。例えば、RPM100円のAdsenseユニットをフィラー設定してCriteoコードに置き換えるならフロアープライスは120円、RPM50円のユニットであればフロアープライス60円が初期設定となり、以後10日〜2週間毎にフロアープライスを調整していくのが良いとの事。
Adsenseの通常広告が1ページに3つまでなので、2つまでというのはそれより厳しい気がするが、Criteo広告を3つ以上貼っても同じ広告が出てしまい、あまり効果が無いのだという。3つ以上貼った場合に空白になるのかペナルティーがあるのかは不明。ページが長いなど、どうしても3枠以上貼りたい場合は応相談とあるので、融通はきくのかもしれない。
これは、1ページの中で広告ユニットを使い回すのが規約や技術的に駄目という事ではなく、Criteoの最低CPM設定やフィラー設定している広告の収益推移が測定困難になるため、総合収益を上げるためのアドバイスが難しくなるのだという。同じサイズの広告であっても貼る場所ごとにユニットを分け、細かく調整すべきとの事。
これに関して、Criteoの導入を検討しているのであれば、その前に既存の広告ユニットを全てバラバラにして、個々のCTR,RPMを計測しておいた方が良いとの事。
これは自分が最初に思い違いをしていたところだ。Adsenseなどでは収益が出ていない場所にCriteoを設置するのかと思っていたのだが、元々のクリック率が0.1%以下の場所にCriteoを設置してもほとんど収益アップは望めないという。クリック率が高い場所2ヶ所にCriteoを設置するべきとの事だ。
CTRが高いけれども何故かRPMは高くない場所にCriteoを設置すると、大幅に収益を上げることができるかもしれないという。(合算で上がるという事であって、元の広告の収益自体が上がる訳ではない。)
これはGoogleAdsenseのような完全なレスポンシブとは違い、例えば「レクタングル中」と「レクタングル大」の2つを用意しておいて、スマートフォンの画面サイズに応じて出し分けるとの事だが、通常の管理画面からはそのコードが作成できないので、Criteoの担当者にレスポンシブ設定したコードを作成してもらう事になるのだという。
大きな枠の方が良いというのはCriteoに限った事ではないのだが、例えばCriteoの出す4分割式ウィジェット広告の場合、ECサイトであればユーザーのCookieを参照してユーザーが開いた事のある商品ページを1つ出し、残り3つは関連性の高い商品を出す仕組みになっているのだそうだ。これが小さい枠だと関連商品を並べる余裕が無く、既に参照した商品がず〜っと表示されてしまうとか、ローテーション式のウィジェットになってしまい、クリック率が低くなってしまうのだという。
「ページヘッダーにある細長い枠と、ページフッターにある大きな枠でCTR,RPMがほぼ同じ場合はどっちを?」と聞いたら、絶対フッターの大きな枠をCriteoにすべき、と即答された。
「フッターはもしかしたらユーザーの目に止まっていないかもしれないですよ。小さくても必ず目に入っているヘッダーの方が良いのでは?」と食い下がってみたが、RPMがさほど変わらないのであれば大きなサイズをCriteoにすべき、との事だ。
「CPMが最適化されて上がってきたら最低CPMの設定を徐々に上げていけばいいのか?」と聞いたら、最低CPMを上げすぎるとCriteoへのインプレッションが減ってしまうから、単純に上げていけばいいという事ではないという。むしろ、場合によっては最低CPMを下げてインプレッションを増やした方が結果的にCPMが上がる事もあるので、ここはCriteoの担当者と相談して決めていってほしいとの事だ。その際に、フィラー設定しているAdsenseなどのCTR,RPMのデータを渡せば、具体的なアドバイスをしやすくなるという。
以上が問い合わせて得られた情報だが、サイトへのアクセス数などの条件をクリアしていれば、導入の価値ありだと感じた。アフィリエイトサイト運営者や、小規模サイトでAdsensne運用している運営者などには悪評高いCriteoだが、それはCriteoが提携ネットワークとしてサブに回ってしまっているからであって、メインで運用する事によって、合算での収益増加が見込めるかもしれない。
ただ、現在貼っている広告コードを全部貼り直す覚悟で望まなければならないので、現在の収益+5%がその手間に見合うのかを検討するべきだろう。
※この記事内容で、認識の間違っているところがあれば教えて下さい。
※疑問な点などは、直接Criteoにお問い合わせ下さい。